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2010-03-12

真俗二諦(5)

真諦(しんたい)すなわち仏教における究極の真理と俗諦(ぞくたい)すなわち世俗の真理について、前回までは、どちらかというと俗諦レベルの内容しかない宗教の問題点を取り上げてきました。

しかし、何度か書いてきたように、真諦と俗諦は両方必要であって、真諦だけではこの世で生きていけません。釈尊はそのあたりをハッキリわきまえていましたから、真諦レベルの教えを世俗の信者には押しつけていませんが、そこを間違えて、真諦レベルの話をそのまま世俗に適用しようとする人たちもいます。

真諦レベルの教えをそのまま俗世間で適用すれば、社会的立場や財産とは無縁の人生を送らなければならなくなります。

もちろん、そういう人生を送っている本物もいらっしゃるでしょうが、真諦の世界に徹した生き方と、この世で人並みもしくはそれ以上の生活を維持することが水と油のように相容れない以上、俗諦を蔑視しながら真諦の価値観を説くような宗教者は(某仏教思想家の如く)実際の生き方はまったく別である可能性が高いということを見極めておく必要があります。

まあ、他人がどういう価値観で生きていようと、自分がしっかり生きていればいいだけの話ではあるのですが、例えばオウム真理教のように実際に人生を狂わせるような例もありますから、気をつけなければなりません。

そこで今回は、真諦の世界とこの世の関わりについて考えてみたいと思います。それは、出家とは何かということが問題になります。

釈尊は自分の教えを実践するにおいては出家することが望ましいと考えていました。

一般に、出家というと僧侶になることの意味で使われます。現代でなら、まあ、奇特な人だとか、変わった人だと思われることはあるかもしれませんが、よほど宗教に偏見を持った人でないかぎり、恥ずかしいことだとはいわれないでしょう。

それは、僧侶というのが社会的立場、あるいは職業として社会的に認知されているからです。むしろ、社会的には聖職者として尊敬を受ける「べき」立場と考えられています。同じく宗教に携わっていても、新宗教の役職者とは扱いが違います。

つまり、僧侶が社会の一員として認知されているわけですが、しかし、これは出家の本来のあり方とは違っているだろうと思います。

釈尊の時代、釈尊やその弟子たちはどういう生き方をしていたかというと、決まった住まいを持たず、毎日托鉢をして、多くても少なくてもその日に供養されたものだけを食べるという生活でした。

雨期だけは、寄進された精舎(竹林精舎や祇園精舎が有名です)に滞在して修行していましたが、それ以外の時は屋根の下では過ごしませんでした。また、一切の生産活動は禁じられていました。

これは、現代風にいえばホームレスの生活です。釈尊の生きていたとき、出家をするというのは、少なくとも形の上では社会からドロップアウトしてホームレスになるということだったわけです。

釈迦族の王子という立場を捨てた釈尊を筆頭に、王侯貴族や大商人、バラモン、その他さまざまな職業を持っていた人々が、社会をドロップアウトして、ホームレスの修行者のグループを形成しました。

当時、インドにおいて、出家修行者は釈尊とその弟子たちだけではありませんでしたし、一定の敬意を受ける存在でした。その伝統は今のインドにも受け継がれています。しかし、それは社会の内部の存在ではなく、社会の外の存在として認識されていることに気をつけなければいけません。

例えば、釈尊の教団においては、出家以前のカーストは問われず、平等であったことがわかっています。それで、釈尊を差別と戦い社会変革を意図した運動家のように言う向きもありますが、そんなことはありません。釈尊は、社会を変革することによって差別をなくそうとしたのではなく、社会の外に出ることによって差別をなくしたのです。

まあ、釈尊と弟子たちは尊い志を持ってホームレスになったわけですが、そんな志を持たないホームレスであっても、その世界の中で、過去にどんな職業だったとか、どれほどの学歴があるとか、どういう家柄だったというようなことを誇っても、虚しいし恥ずかしいだけでしょう。

無論、釈尊はホームレスになったから過去の身分などにこだわらなくなったのではなく、そういう身分や財産を持つことが修行の妨げになるから、敢えてホームレスを選択したわけです。

ここが重要なポイントで、真諦に基づく実践をしていく上では、社会的成功によって得られる地位や財産が大きな妨げになります。ということは、真諦に基づく実践は、社会的成功を得るための大きな妨げになるということでもあります。

そのあたりについて、さらに考えてみたいと思います。

心神(わがたましい)を傷ましむること莫れ。ありがとうございます。

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