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2010-03-25

風外慧薫(3)

風外慧薫(2)

さて、風外慧薫(ふうがい えくん)禅師は真鶴に20年ほど住んだ後、慶安元年(1648)、天神堂のそばに寿塔(生前に建てる墓)を建て、伊豆のほうへと旅立ちました。齢81歳でした。

さらに駿河や遠江を遍歴した後、遠江国石岡(現在の浜松市北区細江町)に庵を結び、画を描いたり、子どもと遊んだりして暮らしていたようです。

そうして一年ほど過ごした後、石岡を発ち、金指(現在の浜松市北区引佐町)に来たとき、土地の百姓に銭百文を渡し、穴を掘らせました。そして、その中に入ると、「これでよし。土をかぶせて埋めてくれ」と言って、立ったまま亡くなりました。その有り様は木を植えたようであったといいます。

引佐町には今も風外の墓が残っているそうです。

さて、墨田区向島の牛頭山弘福寺に祀られている「翁媼尊(じじばばそん)」ですが、これは、風外が真鶴に住んでいた頃、父母の像を石に刻んだものです。

風外は家を出て、さらに寺を捨てるという「出家ののちの出家」の生涯を貫きましたが、生来非常に親を思う心が厚く、実際に親に孝養が尽くせなかった代わり、朝夕、この二体の像に香華を供え、あたかも生きているかのように大切にしていたそうです。

その後、稲葉候が領内を巡視したとき、風外和尚が住んでいた窟でこの像を見つけ、大いに感じるところがあって、江戸の藩邸に安置していました。そして、稲葉氏が越後高田へと転封になった際、稲葉家の菩提寺である弘福寺に移されたそうです。

先にも書きましたが、弘福寺も稲葉正則が開基となり、鉄牛道機を開山に招いて創建された黄檗宗の寺です。黄檗宗の寺に曹洞宗の風外禅師ゆかりの石像があるのは、このようなゆかりによるものです。

翁媼尊のかたわらには「風外古佛」の碑があり、風外禅師の略歴と翁媼尊の由来が書かれているのですが、その下の方に風外の自画像があります。



まあ、どうしてもこの世においては、大宗派の祖師として、一定の信奉者を持たないかぎり、人々から忘れ去られがちになるのはやむをえないことですが、しかし、こういう偉いお坊さんが忘れられているというのも残念なことです。

風外など、名前が残っているだけ、いいかもしれません。いや、本人は不本意かもしれませんが。

例えば、親鸞や道元にしても、彼らのあり方を後継者がそのまま継承していたら、真宗や曹洞宗の大教団が存在していたかどうかはわかりません。そうなると、親鸞や道元の教えが後世どれほど知られていたか、歎異抄や正法眼蔵がどれほど評価されていたかだって、わかりません。知られてなければ、評価もされないわけですから。

あるいは一生を遍歴して過ごし、亡くなる前に著作を燃やしてしまった一遍など、後継者の他阿真教(たあ しんきょう)が教団を整備しなければ、とっくに忘れられていたかもしれません(そうでなくても、蓮如に信徒を蚕食された結果、宗派が縮小し、知名度も低くなってしまっているという現状があります)。

私たち現代人が親鸞や道元、あるいは一遍の思想に触れ、その純粋な生き方に感銘を受けることができるのも、蓮如や瑩山紹瑾(けいざんしょうきん)、他阿真教といった後継者が教団を拡大したおかげだという側面が間違いなくあるわけです。

それを忘れて、祖師の純粋さを称揚し、後継者の努力を堕落のように扱う人たちがいますが、誰のおかげでそういう教えや人格に触れることができたと思っているのでしょうか。困ったものです。

と、同時に、私たちが知らない、まったく名前も残していない僧の中に、本当にすごい人がいた可能性があります。

まあ、「徳は孤ならず」というように、優れた人物というのは、風外禅師や、あるいは次に取り上げる桃水雲渓のように、どんなに隠れても否応なく人に知られ、名を残すことになるものだろうと思います。

それでも、実は本当にすごい人がいて、名前を残さないことに成功しているのではないだろうか、いや、現代にだって、そういう人がいるかもしれない、などと思うわけです。

心神(わがたましい)を傷ましむること莫れ。ありがとうございます。

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