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2010-04-17

「幸福の科学」考(3)後編

「幸福の科学」考(3)中編

昨日に引き続き、「宗教立国」の問題を考えてみたいと思います。

まず、確認のために問題の項目を引用。

5.最高の幸福と繁栄を実現する「宗教立国」を目指します。

人間が尊いのは神仏の子であるからであり、基本的人権の根本には信仰があります。正しい宗教こそ国民を幸福にする基であり、宗教の尊厳を取り戻さなければなりません。
本来、宗教と国家は融合的であり、切り離すことはできません。
よい宗教とよい政治が連動したとき、国民にとって最高の幸福と繁栄がもたらされます。
幸福実現党は、宗教が尊敬される理想の国を目指します。


それでは「本来、宗教と国家は融合的であり、切り離すことはできません」という一節から。

宗教には神道に代表されるような共同体の宗教と、プロテスタントや新宗教に典型的に見られるような個人の宗教があります。実際には画然と二つに分けられるわけではなく共同体の宗教からも個人の宗教的な流れが生じることがありますし、個人の宗教もその地域で主流を占めるようになれば共同体の宗教的な機能を果たすようになります。

共同体の宗教というのは、儀礼や儀式によって国家や地域社会など共同体の維持・繁栄を願う宗教です。個人の幸福というよりは、共同体全体の幸福や繁栄を願う傾向があります。

日本の仏教史を見た場合、個人の救済という側面もありますが、国家との関係においては基本的に鎮護国家の宗教であり、これは個人の宗教のふりをしたがる浄土真宗も例外ではありません。

日本語の「まつりごと」が文字通り「まつり」を行うことに由来するように、確かに古代国家においては宗教と国家は一体であり、融合的であったといえるかもしれません。

しかし、文化・文明が発展するにつれ、国家の世俗化が進み、また、宗教においても共同体の宗教ではなく、個人の救済を中心とする宗教が出現しました。それらは国家と融合的ではないどころか、むしろ距離を置いたり敵対的であったりすることが少なくありません。

仏教など、本来典型的な個人の宗教であり、これまで何度も書いてきたように、社会の枠組みから離れ、相互不干渉の立場に立ちます。釈尊ご自身、求められたときはアドバイスを与えていますが、決して積極的に関わるようなことはしていません。

意気揚々と国政選挙に出馬して、見事玉砕するような恥ずかしいマネはあり得ないわけです。

それはともかく、第一にここで問題になるのが真俗二諦、つまり仏教(宗教)的真理と世俗的真理の違いです。

例えば宗教(特に仏教)などでは不殺生が説かれ、戦争は批判されます。確かに戦争は望ましくないものです。それを根拠として、軍備に反対する仏教者などもいます。しかし、釈尊がマガダ国のビンビサーラ王やコーサラ国のパセーナディ王に軍備をなくすようには説かなかったように、現実的に国家の安全を確保するために軍備は必要です。

自分たちが戦争を起こさなくても、他国から侵略してくるということは起こりえます。むしろ、軍備を持たないことで他国からの侵略を招き寄せる可能性を高くしますから、空想的な平和主義が、かえって戦争の原因ともなり得るわけです。

そういうところで、宗教的な理想と世俗的な現実の対立は不可避になります。そうなると、やはり、基本的には世俗的価値観によって現実な対処が優先されるべきでしょう。それで限界になったときは宗教者の出番になるわけですが。

まあ、その点、憲法9条の改正を主張しているぐらいですから、幸福実現党に変な理想主義はなさそうです。

というか、以前にも指摘したかと思いますが、幸福の科学の場合、俗諦的価値観しかない宗教ですから、個々の政策的なことに関しては世俗国家のあり方と対立する要素が少ないといえるかもしれません。根本的なところで相容れないとはいえ。

しかし、普通の宗教であれば、現実の政治とは必ずしも完全に同調できないのが普通です。教義を持つ以上、必ずしも現実に妥協できるとは限りません。また、その教義も宗教によって違ってくるわけです。

ここで次の問題が現れます。

前回も指摘したとおり、さまざまな宗教観には教義や価値観、実践における大きな違いがあります。幸福の科学の人たちが全宗教で受け入れられるだろうと錯覚している「神仏の子」という考え方だって、キリスト教やイスラームでは絶対に受け入れられません(両宗教の信者を合わせれば人類の約半分になるはずです)。

私は、万教同根・万教帰一を信じていますが、それは信じる宗教によって作用する宇宙の法則が変わるわけではなく、別な世界に住むわけでもない以上、妥協せずに突きつめていけば同じ地点に到達せざるを得ないはずだということであり、その過程である各宗教において同じことを説いたり実践したりする必要はまったくないと考えています。

むしろ、万人共通に有効な宗教などないと思っていますから、多様な宗教が併存するべきだと考えていますから、あの宗教はこう言っている、この宗教はこう言っているでいいのですが、もし宗教と国家が融合的であるとなると、そうはいきません。

宗教の多様性を保証するためには、「宗教立国」などというのは極めて危険であると私は考えます。日本などは比較的うまく多様な宗教が共存していましたが、それは江戸時代などに典型的なように、世俗権力が宗教から独立していた、むしろ世俗権力が宗教より上位にあったことによります。

「宗教立国」という場合、幸福の科学の人たちは、あらゆる宗教の価値観は同一と錯覚しており、その共通する価値観のような意味で「宗教」と言っているのでしょう。そして、それを完全に表現しているのが幸福の科学であると思っているに違いありません。

幸福の科学と他宗教で異なる価値観や教えがあった場合、幸福の科学の人たちがその差異を差異として認め、幸福の科学の教義を相対的なものとして受け入れることができるかというと、まず無理だろうと思われます。必ず、その差異は相手側の宗教が真理を誤って解釈しているためだという判断をするでしょう。

ですから、ここでいう「宗教」というのは、「人類に害をなす誤った宗教を除く全宗教」というような意味で用いているでしょうし、本人たちもそう信じているでしょうが、無知と誤解に基づく虚構であって、実際は幸福の科学のことだと断言して間違いありません。

そうしてみれば、次の「よい宗教とよい政治が連動したとき、国民にとって最高の幸福と繁栄がもたらされます」というのも、幸福の科学=幸福実現党が政権を取ったとき、あるいは幸福実現党以外であっても有権者と政治家が幸福の科学を受け入れ、それに基づいて政治が行われるようになったときという意味であることがわかります。

ただ、私の推測では、そこまで当人たちの意識の中で「よい宗教=幸福の科学」という意識が露骨かというと、そうでもないのではないだろうと思います。むしろ、仏教やキリスト教などをはじめとする既成の宗教が幸福の科学と大川隆法総裁を受け入れるという構図をイメージしているのではないでしょうか。

無理でしょうけど。

「幸福実現党は、宗教が尊敬される理想の国を目指します」

現代日本は、確かに宗教が敬遠されたり、ばかにされたり、ないがしろにされたりという風潮がありますが、だからといって宗教が尊敬されていないというわけではありません。

例えば、やはり僧侶や神職、キリスト教の神父や牧師など、伝統宗教の聖職者はなんだかんだ言われながらも社会的なステータスは認められています。また、社会的な良識をわきまえた上で、宗教に関わっているというと、変わった人という評価とともに、ある種のプラスの評価も受けます。

そういう意味で、無条件の尊敬ということはありませんが、程度の差はあれ、どんな人であっても根底に宗教に対する何らかの敬意、特別なものという感情があることは間違いありません。というか、僧侶や宮司というだけで名士として扱われる社会は、やはり宗教が尊敬されているのです。

ですから、私は、今の日本はじゅうぶん宗教が尊重されていると思っています。むしろ、宗教が宗教であるというだけで尊敬される社会など、宗教者の堕落を招くだけですから、今ぐらいの状態の中で、宗教者が自ら尊敬されるように切磋琢磨することこそ必要であると考えるわけです。

それよりも、この一節は、彼ら自身が、自分たちは社会から受けてしかるべき尊敬を受けていないと感じていることがポイントだろうと思います。

「宗教が尊敬される理想の国」を実現するというのは、自分たちが尊敬されないということを、自分たち自身の努力によってではなく、社会に働きかけて解決しようということであって、とても恥ずかしい話です。

まあ、「宗教立国」なんて、所詮そんな話であって、幸福の科学が世の中から認められる素晴らしい宗教であれば、わざわざ掲げる必要のない項目だと思うわけです。「道徳立国」とかなら別ですが。

心神(わがたましい)を傷ましむること莫れ。ありがとうございます。

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(2009/01/10)
島田 裕巳

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